私が勤務する単位制高校と校舎を共有している通信制が、今春発行した生徒会誌が手元にある。
卒業式直前に配布されただけあって、最後の8ページは教職員が生徒に贈る言葉と、卒業生が先生や在校生へ残す言葉が載っている。贈る方は 「頑張ろう」 「頑張って下さい」 が目立ち、送られる方は 「頑張ります」 「がんばるぞ」 「頑張ってきた」 を連発し、約7人に1人が 「ガンバる」 の表現を用いている。ひらがなで書いたのは卒業生2人だけで、残りは全て漢字を入れている。他に 「努力・忍耐・前進」 という表現も多く、これを 「ガンバる」 と同じ範疇に入れると、5人に1人が使用していることになる。
日本人が 「頑張る」 という言葉を多用しすぎることは、以前からよく指摘されてきた。「今日できることは明日に延ばすな」 の価値観は、農耕民族の特性として素直に甘受できるだろう。しかし、余りにも広範囲に 「頑張る」 が乱用されることは、語彙の貧困、語感の鈍化、ひいては思考力の怠慢に繋がらないか心配である。
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