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映画「69 sixty nine」

 

北高卒業生である人気作家・村上龍は、76年大学在学中に「限りなく透明に近いブルー」で群像新人賞と芥川賞をダブル受賞し、たちまち時代の寵児となった。その7年前の69年にも故郷・佐世保で村上龍は校内を騒然とさせ市民を驚かせた。87年に刊行された小説「69 sixty nine」は映画化され、2004年夏に公開された。

 
 
(編集部)
 
   

69年。市内で伝統と実績を誇る進学高(作中でも「佐世保北高」となっている)に通う主人公ケン(妻夫木聡)。ケンは原作者・村上龍の分身である。基地の町で青春を送っているケンやアダマ(安藤政信)やイワセ(金井勇太)は、「想像力が権力を奪う」をモットーに体制にたてついていった! 夜中に校内へ忍び込み、学校のバリケード封鎖を試みた…とくると骨のある青春映画と思うところだが、全然違う! 彼らがバリケードを封鎖したのは何の思想も信念もない。ただ、目立った行動をとり女の子にモテたいがため、楽しく生きるためだ。

 
 

校内のあちこちに落書きがされ、机も椅子もめちゃくちゃ、ガラスは割られ、とても授業などできる状態ではない。ちなみに、私は村上龍が本校に在籍したずっと後に「北高生」になる。語り草となっているその「事件」について、思いつきで決行したケン(原作者)たちのイタズラの後始末をさせられたかつての「北高生」たちはさぞかし迷惑だっただろうと推測する。村上龍は自分の青春時代の行き過ぎたイタズラを小説という形で作家デビューした後に発表し、それはベストセラーとなった。抱腹絶倒の原作に描かれた数々の「事実」のうちバリケード封鎖は、立派な犯罪である。当然の如く、警察の捜査が入りマスコミは市内の伝統校でおきたこの事件を大々的に伝え市民を驚かせた。う〜ん、私の先輩でもある村上龍は日本を代表する作家であり、その実力に敬意を表してはいるが、全くもって人騒がせな男だ! 

映画だが、原作同様、暴走するおバカな青春をユーモラスに疾走感溢れるテンポで描く。バリケード封鎖を除けば、よくある高校生の物語…好きな女の子をおっかけ、仲間とつるんでバカばかりやり、音楽を聞き映画をみて、ケンカもすれば勉強もして、といった具合に。

ケンとその仲間の佐世保の暑い夏。その熱気同様、彼らの迸るエネルギーと汗とハチャメチャぶり。右肩あがりの日本経済にあやかるように彼らのノビノビ度も加速した。それが69年という時代だった。当時流行した音楽や映画やファッション、時代を象徴するものが昭和という時代を懐かしく思い出させる。役者たちの佐世保弁もなかなかイケている。「工業の番長」や「純和女子学園」(架空だが)が出てくるのも佐世保人には嬉しい!

時代は昭和から平成へ。ふざけすぎた青春ではあるが、閉塞した現在にあっては眩しく感じるのは否めない。勿論、バリケード封鎖などお勧めはしないが。

 
 

【VIDEO&DVD情報】

  • 2004年日本映画/113分

  • 発売日:2004年12月21日

  • 価格(税込み):3990円

  • 販売元:東映ビデオ

  • 監 督:リ・サンイル

  • 出 演:妻夫木聡、安藤政信、金井勇太、柴田恭兵他

 
 
(文責・桑島まさき)
 
     
     
 
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