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  エイズ研究の世界的権威・医師の満屋裕明さん(21回生)が描かれている本とドキュメンタリー番組が2015年10月8日 NHK総合で放映されました。
エイズ治療薬を発見した男 1981年、かかるとほぼ2年以内に死亡すると畏怖されたAIDS(後天性免疫不全症候群=エイズ)が確認、報告された時のことはよく覚えている。治療法も特効薬もない未知のウイルスの出現に世界中の人々が恐れおののき、死亡者数が増加するにつれ、エイズ患者への偏見もまた膨らんでいき社会問題となった。
エイズは現在、忘れられた病気になっているのは確かである。勿論、それは、次から次に未知のウイルスが発見されるために、人々の関心が他へ移ることによるが。 しかし、2015年夏時点、世界にはエイズ患者が3千5百万人以上いるとされ、日本では年間千人の感染者が出ていると聞く。さらに、2013年には150万人の患者がエイズで命を落としている。
つまり、エイズは、発見された時のように「かかると確実に死に至る病」ではなくなったが、まだまだ侮れない病なのである。

エイズ患者の数がピーク時と比べて減少したのは、エイズ治療薬が開発されたからである。感染しても早期に治療すれば、薬を飲みながら普通に生活できる。
満屋裕明さん(21回生)は世界で初めてエイズ治療薬を発見し、エイズ患者を薬剤治療へと導いた医師として注目を集めている。発見したのは現在から30年前の1985年、満屋さんが35歳の時である。ちなみに新薬開発の確率は古今東西、百万分の一といわれている。
2015年10月8日、NHK総合テレビで、満屋裕明さんのエイズとの闘いを描いたドキュメント「Dr.MITSUYA  〜世界初のエイズ治療薬を発見した男〜」が放送された。

放送された数日前、日本人科学者が連日、ノーベル賞を受賞するというニュースが報じられた。実は、ノーベル生理学・医学賞候補として、満屋さんは随分前から期待されている。そんな話を聞いていただけに「もしや・・・!」という気がしていたのだが、結果は別の科学者が受賞された。
アニメや図解による構成はとてもわかりやすく、映像で見るドクターは、気さくで、無類の酒好きで、研究室にお気に入りの骨董品やスターの写真を置き、好きな音楽を流す趣味人。行動的でチャーミング、本当にステキなスーパードクターだ。

★NHKテレビ「Dr.MITSUYA  〜世界初のエイズ治療薬を発見した男〜」
     http://www.nhk.or.jp/docudocu/program/3715/2225291/index.html

★「エイズ治療薬を発見した男 満屋裕明』

(堀田佳男著/文春文庫/600円(本体)/2015年9月10日刊)
       http://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784167904579

本書は、満屋医師が世界初のエイズ治療薬を発見した軌跡を描いたノンフィクション(著者は北高生でない)。単行本「MITSUYA−エイズ治療薬を発見した男」(旬報社)は1999年に刊行されたが、文庫化までに時間がかかり、本年2015年9月ようやく「エイズ治療薬を発見した男 満屋裕明」(文春文庫)として文庫化が実現した。
1985年の発見から2015年の現在まで30年。満屋さんは現在も母校・熊本大学附属病院とアメリカにあるNIH(国立衛生研究所)を行き来し、エイズ研究を続けている。
本書には、母校でのこと、熊大医学部に進んだものの左翼運動中心だった学生生活のこと、医師となった日々、他のスタッフが辞退する中、死を覚悟して危険なエイズウイルスを使った研究に専念する闘いの日々、特許訴訟のことなどが克明に描かれている。
危険だが「誰かがやらなければならない!」と背中を押してくれた奥様も北高生だ。

研究以外に無駄な労力を使わないスタンスを貫いている満屋さんは、ノーベル賞云々の雑音も意に介さない。結果は後からついてくるもの。こつこつと科学者としてやることを続けている。小さい頃、医師へと導いてくれた母と約束した「長生きのくすり」を、病に苦しむ人々に届けるという使命のために。 だが、ドクターはその使命を、「非常に楽しいし、こんないい仕事はない」と語る。こんなにカッコよく、頼もしい方が母校の先輩であることが、ただ嬉しい。改めて、母校と同窓生を誇りに思う気持ちを強く持った。

(文責・桑島まさき)

★同級生コメント 井上 眞さん(21回生)

 エイズ治療薬を発見した男  現在も彼のスケジュール帳は、数年先の予定まで、ビッシリ埋まってます。
そんな中でも休みが取れると連絡をくれるので、ワシントンDCまで飛んでゆき、一緒にトコトンエンジョイする事にしています。この切り替えが、彼のエネルギーを生んでいるんでしょう。
この写真は、その際に彼の研究所NIHに寄った時の写真(左が満屋博士)です。彼が語ってくれた一言「これからも、誰かが私を必要と思ってくれている限り、研究を続けてゆきます。」彼は、そんな男です。
 
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