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「涙と花粉とオジサンの微妙な関係」
31回生 鴨 川 幸 生
今年は、例年よりも杉花粉の飛散量が多いという。その影響で、初めて花粉症を発症する人たちも多いらしい。
診察を受けたわけではないので確かなことはわからないのだが、私も3月に2週間ほどマスクのお世話になった。
私の思い込みかもしれないが、花粉症のオジサンたちに対する世間の目は少しだけ冷たい。
鼻水は止まらず、お世辞にも美しいとは呼んでもらえない涙も止められず、どうすることもできず、ただ耐えているオジサンである私に「ちぇっ、朝からうっとうしいなあ、このオヤジ…」という乗客たちの視線を感じるのである。
その冷ややかな視線は、私以外の花粉症オジサンたちにも向けられている。寂しいことだ。
不条理でもある。 “オヤジって…だ。オッサンだから…だ”と、ことあるごとに言われ、あげくの果てには失笑を買う機会も多いオジサンたち……。
花粉症を患い、自分ではどうすることもできない涙を流している時ぐらい、他人から普段よりほんのちょっと優しい目線を欲しいと願うのは私だけだろうか。
それとも単なる被害妄想だろうか。涙目時々鼻水その後クシャミという状態で、こんなことを考えた日もあった
。
さて、花粉症のオヤジの涙の話とは違うが、“顔で笑って心で泣いて”とあるように、日本では人前で泣くことに対してどちらかというと否定的な空気がある。
まして、オジサンたちが何かに感動して人前で泣くことなど、多くの場合許されていない。どこか具合でも悪いんではと、要らぬ心配をされるのがおちである。
ところで、女性たちが感情に身を任せてひとしきり泣いたあと、なぜかとてもすっきりしているように見えたことがないだろうか?
原因はどうであれ、いったいさっきまでのあの騒ぎは何だったの…という類のことである。
この「女性が泣いた後のスッキリ」には、実は、わけがあったということが科学的に解ってきている。泣くという行為には、ストレスと密接に関係するホルモン(コルチゾールと呼ばれている)を涙と一緒に体外へ排出する働きがある、ということらしい。
だから、泣いた後ではコルチゾールの血中濃度が下がり、その結果、精神的ストレスが軽くなり、気持ちがスッキリしてしまうというメカニズムである。
このコルチゾールの血中濃度が高い状態が続くと、人間は慢性ストレスに苛まれることになる。慢性ストレスの状態が続くと、うつ病になる場合もあるそうだ。怖い話である。
このコルチゾールの濃度を測定することにより慢性ストレスを判定する方法も、すでにある企業で開発済みということ。近い将来、会社の管理部門から「あなたは、現在、慢性ストレスにより精神状態が悪いので、この仕事は任せられません」という事態が起こってくるかもしれない。これまた怖い話だ。
しかし、泣くことで、この慢性ストレス状態から抜け出せるという。“お酒で発散”と違い、翌朝に影響することもないし、それに安上がりだ。朗報である。でも、コルチゾールを体外へ排出する涙は感情的な涙に限られているということ。つまり、悲しみ、喜び、同情などの涙であり、残念ながら花粉症の涙はストレス解消へは繋がらない。
北米先住民の言い伝えに、「目に涙がなければ魂に虹は見えない」という言葉がある。果たして、私たちオジサンがこの言葉にあるような涙を流すことができるのだろうか。
やはり、いつものように酒場で“飛びたくても羽はない、歩いて行くには道がない”ということになってしまっている自分が見える気がする。
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