「モースト・パワフル・ウーマン・イン・ビジネス」 アジア第一位(米「フォーチュン」主催)にも選ばれたことのある世界の松永真理さん(25回生)。松永さんの「iモード以前」は、とにかく面白いのでご一読をお薦めします。(編集部)
松永真理著 「iモード以前」 岩波書店刊・本体1400円
日本が空前の好景気に沸いていた80年代。就職情報誌「とらばーゆ」にはよくお 世話になった。当時のそれは厚さ10センチはあったのではないだろうか。「ぴあ」に
してもそうだがそもそも情報誌なんて発想そのものが奇抜だ。ウケないはずがない。
著者の松永真理さんは当時の「とらばーゆ」編集長を務めた人。「iモードの松永 真理」として広く知られている(?)がこの人の偉大さはリクルートでの実績と忍耐
を抜きに語ることはできない。なんといっても著者のキャリアの原点はここにあるのだから。タイトルに示すとおり著者が「iモード」を開発する以前のリクルート時代
のエピソードを集めたものが本書だ。
今や「人の編集者」として本職のほかに執筆、講演、某社の社外取締役などをこなす各界でひっぱりだこの著者だが、現在の成功は決して幸運の賜物ではないことが本書を読めばよ〜くわかる。とても組織に在籍する一介の女子社員が背負いきれるものではない事件の連続の20年だ。
たとえば世間を震撼させた「リクルート事件」当時、著者は「とらばーゆ」編集長としてマスコミの矢面に立たされた。社会からバッシングを浴び、再び信用を勝ち取っていくまでいかほどのエネルギーを必要とするかは言わずもがな。先の見えない不況に生きる我々。そんな時代にどう働くべきかという「労働」についての貴重な提言をさりげなく語る。又、就職氷河期での苦難に満ちた就職活動は、「就職指南書」としても読める。
かつて”リクルートマジック”にかかって働き者になった松永さん。本書を読んで 働き者にならない人はいないだろう。
(文責・桑島まさき)
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