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第13回東京北星会総会でゲスト出演し長唄を披露した26回生の野口悦至さんは、 <東音野口悦至>という名で数々の舞台を踏んでいる。
2004年度に野口さんが出演された舞台の一部を紹介する。(編集部)

野口悦至さんの「長唄」

能、歌舞伎、狂言、文楽、長唄……日本には多くの伝統芸能があり、それらの世界に身を置く人々は、その芸術と長い伝統をしっかりと守り次の世代に継承する役割を担い日々精進に励んでいる。
最近では伝統の中にモダンさを取り入れて旧さと斬新さが共存した「現代的」なるものを目指す傾向があるようだ。
「紀伊國屋文左衛門物語 歌綴りぶんざ 元禄散華」(2004年11月18日〜28日/紀伊国屋サザンシアターにて上映)を観て、私はこの「現代的」という言葉を理解した。「歌綴り」が示すように、長唄、民謡、琵琶歌、ジャズ、ポップスなどそれぞれの分野での歌い手たちが集まった和洋折衷のミュージカルだ。主役の紀伊國屋文左衛門(以後、“ぶんざ”と表記)を演じるのは歌手の中西保志さん。野口さんは、若きぶんざに人生の道案内をする人柄のいい商人、松木屋新左衛門を演じた。本作は過去に2作品(「ぶんざ」「ぶんざ 青春篇」)を上映しているが、本作は、それら2作を総括し、紀州から江戸へ出て材木商として成功し豪商となったぶんざの波乱に満ちた人生を、とりわり恋と友情にスポットをあてたものだ。歌い方も声質も違う各分野を代表するプロたちがまるで競うかのごとくその実力を披露する。ぶんざのドラマチックな人生もさることながら、なんとも贅沢な舞台を見た気がした。
無論、一つの芸能にどっぷり浸かるのもイイ。「第三回長唄 宮磨會」(2004年10月23日/四谷区民ホールにて開催)では、野口さんは一番最初の演目「橋弁慶」に登場。典雅な古典を威風堂々たる貫禄で謳いあげ、優美で厳粛な声と笛や小鼓や太鼓の響きが見事に融合し、幽玄で静謐な世界を作り上げる。長唄ならではの芸の高さを見た。

(文責:桑島まさき)

【情報】

  • 歌綴り「ぶんざ」公演事務局 03−3379−3522

  • 宮磨會事務局 03−3269−6060


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