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山本武秀著「帰る海“あじあ号”への想いを胸に」

 文芸社刊・本体1500円

帰る海 山本武秀君(9回生)久々の脱稿!
「満州時代・満州国、という言葉は、天国から地獄までを物語っている。
直木賞作家なかにし礼の『赤い月』とは一味違う満州ロマンを描いた、引揚者には甘美な想い出が蘇る小説」

(相原喜龍)

『帰る海』あとがきからの抜粋。
「満州という存在を、私が初めて知ったのはいつの頃であったろうか。 四、五歳の頃、親から買ってもらった絵本に"あじあ号"の機関車がさっそう と表紙を飾っていたことが、二、三度あったようにおぼろげに憶えている。 絵本には"マンシウノゲンヤ……"といったふうにカタカナ文字で書かれてい たであろうと想うが、多分それが満州との最初の出会いではなかったろうか。 そしてさらにその頃、私には"満州"に直に接した貴重な体験が一度だけある。 当時、渡満していた父方の叔父が、羊羹と支那そうめんを親元へ送ってきたと き、子供の手でそれに触れたのである。 長じて、早や半世紀は過ぎ、さらに月日は経った。 その問、満州は私にとって、歴史の時間、わずかに顔を覗かせるだけの存在で しかなく、満州は私の関心とか興味の対象からほど遠いものとなった。」


<著者のプロフィール>

山本 武秀 (やまもと たけひで)

  • 昭和12年8月25日、長崎県佐世保市生まれ。
  • 昭和37年、早稲田大学第一法学部卒業後、九州電力(株)入社。
  • 昭和53年、同社退職後、郊外型書店経営し、現在に至る。
  • 平成8年、処女作「敷島橋」(葦書房)で第15回佐世保文学賞を受賞。


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