佐世保市立図書館司書、郷土資料室勤務のかたわら中世史を研究し、現在は佐世保市秘書課広報係を務める池田和博さん（20回生）が故郷を実際に歩いて歴史を検証した７年がかりの本を紹介する。編集は南高出身の小川照郷さん。　　

（編集部）

池田和博・小川照郷著  「させぼの歴史を歩く」

ライフ企画社刊・本体１３５９円

　郷土史家が郷土を歩き、実際に残っている資料的裏付けをとり、論理的に思考検証し、文学的描写をまじえて記事をかく。共に歩くのは同郷の編集者でライフ企画社代表取締役編集長の小川さん。本書は、小川さんが創刊した月刊誌「ライフさせぼ」99viewに連載された「歴史散歩同行二人」の単行本化。

　
　学生時代、歴史は大好きな科目だったが、郷土史を研究する時間がもてないまま故郷を離れて現在に至っている私は、恥ずかしいほどに郷土史に無知だ。だから、故郷のパーツパーツを取り上げ、その歴史を紐解いていく試みの本書は、実にありがたく興味深い。かつて住んでいた町や訪れたことのある町にこんな歴史があったとは……。佐世保に歴史はない！などと勝手に思いこんでいただけに驚きは大きい。

　それにしても著者はよく歩いている。どんな小さなモノも見逃さない情熱で。こんな地道な作業があることで、歴史の闇に埋もれた真実が掘り出されていくものなのだ、と実感。本書を片手に歴史を歩いてみると、より郷土への愛着が深まることだろう。

（文責・桑島まさき）