コンサートの日が来た。ずうずうしくも、言葉に甘えて、招待席に座る。幕が開く。
「潮音」「山の子供」「ゆりかご」と続く女声合唱、その後はソロのすばらしい歌曲にうっとりする。最後の「平城山」「九十九里浜」まであっと言うまの2時間であった。最後に、全員合唱で「ゆりかご」を歌い酔う。途中で平井先生は「歌はどこから生まれる?」と題して話をされ、歌を歌われた。話しぶりも歌いぶりも、作られた曲そのままで、
『歌は人間から生まれる』の感を、いまさらながら再認することになる。
コンサートが終わって、いよいよレセプションが始まった。日頃気の弱い(?)私も、この時だけは厚かましくならぎるをえない。平井先生の隣の席を確保し、乾杯の前に、校歌の楽譜をお見せして色紙のサインをお願いする。 「何がいいですかね」「何でも結構です」「では、ゆりかごにしますか」「ありがとうございます」 優しい字である。ゆりかご
の歌詞と、初めの2小節の楽譜を書いていただく。最後に岩坪英亮様へと書かれてぴっくりした。
本当は北高の生徒向けに書いていただくつもりで色紙を出し、うかつにも、
「生徒向けにお願いします」と言うことを忘れていたのだ。しかし、幸いにも、予備の色紙をもう一校持参していた。先生も何かを察されたのか、「もう一枚色紙はありますか」
と言っていただく。会場では、乾杯の準備もでき、平井先生の方を注目している。少し焦ったが、今度ははっきり「生徒の励みになるような言葉をお願い致します」と言う。しばらく考えて
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